活動の紹介・新着情報
文化庁芸術家の派遣事業_デフ・パペWS:情報デザイン科の授業風景
令和5年12月8日金曜日、専攻科情報デザイン科では、科目「造形デザイン」の授業内容として、文化庁「学校における地域活性化のための文化芸術子供鑑賞・体験事業」芸術家の派遣事業の枠組みを利用し、公益財団法人現代人形劇センター デフ・パペットシアター・ひとみの皆様をお招きした表現活動に係るワークショップを行いました。
本授業においては、大変貴重な機会でありますので、本科生徒の皆様にも参加いただき、結果的には全校生徒学生が集う大きな授業となりました。
ワークショップでは、ろう者の劇団員の方のネイティブな手話による指示を受けつつ、それぞれの生徒・学生がアブダクションをフル活用した活動が展開されます。テーマは、「○△□で何ができる」で、単純な幾何形体から何かを見立て、表現する活動を行いました。
そもそも芸術的な表現は、「頭や心の中になる「何か」をどう表すか」というよりは「今、目の前にある形を何に見立てるか」という活動です。つまり、今見えているものと、描いたり作ったりしているもの間には、直接的なつながりはないということになります。
本ワークショップは、このような、表現における本質的な「見立て」の要素を、非常にプリミティブに、かつ、本質的に取り上げられたものであり、非常の濃厚で有意義な活動だったと思われます。
微細な動きの違いがもたらす意味内容の大きな違いに、どれだけ気づくことができたか。自分が表した動き方の根拠を探り、探った結果を説明できるか。本質的な価値が試されます。
デフ・パペットシアター・ひとみの皆様を初め、関係各位の皆様、御協力ありがとうございました。
市立小樽文学館でのARイベント:情報デザイン科の授業風景
市立小樽文学館でのARイベント:情報デザイン科の授業風景
令和5年10月27日金曜日、専攻科情報デザイン科では、筑波技術大学とAR展示に係る技術協力を行った市立小樽文学館の「人喰いの時代展」展示会場内において、市立小樽文学館の御厚意により、これまでに授業で制作してきたAR作品展示によるミニイベントを開催させていただきました。
筑波技術大学との連携授業において蓄積してきたAdobeAeroによるAR制作の技術を生かした作品を中心に、7月の「高聾祭ディスプレイ」で展示した石膏像やフォントのAR作品、格闘ゲームばりのキャラクターの動きを再現したAR等を文学館内部に展示いたしました。
日常の展示空間がARにより異化され、非常に刺激的な空間に変貌すると同時に、小樽文学館のノスタルジックな空間と先鋭的なデジタル映像が拮抗し、緊張感のあるフレームを生み出すことに成功したと思います。
また、筑波技術大学の3Dスキャンの技術協力により再現された「人喰いバス」におけるバス本体ARも合わせて展示いたしました。QRコードを読み込むことで、スマートフォンの画面に現れるバスの車体は、客室内部まで精緻に再現されており、画面を見ながら車体に近づいていくと、実際に乗車しているような感覚を味わうことができます。
来場されたお客様には、その技術力の高さに驚かれている方も多く、学生にとっても大いに刺激となりましたし、専攻科情報デザイン科の授業内容を学校外部の皆様にお伝えする非常に良い機会となりました。
御協力いただいた、筑波技術大学の皆様、市立小樽文学館の皆様には、貴重な機会を与えていただいたことに対し、改めてお礼申し上げます。
文化庁ユニバーサル公演事業「手話狂言」:情報デザイン科の授業風景
令和5年9月8日金曜日文化庁ユニバーサル公演事業として日本ろう者劇団が来校し、手話狂言の公演並びにワークショップ等を行いました。
本事業は、専攻科情報デザイン科の授業の一環としてカリキュラム上は位置付けられていますが、またとない非常に貴重な機会であり、本科の生徒の皆様にも参加いただく枠組をつくった上で事業を実施いたしました。
当日は、朝から専門の業者による体育館への舞台設営が行われ、非日常感が充満した雰囲気の中、演目「附子」が演じられました。
日常の手話表現とはまた違った、非常に形式的な表現が特徴ですが、様式がしっかり固まっているが故、開演前後は、生徒の皆さんも緊張気味でしたが、途中の休憩時間では、演目中の太郎冠者と次郎冠者の手話を真似しながら会話をしていたりとか、砂糖の色が何かしっかり読み取れていたり等、公演を楽しんでいる様子が伺えました。やはり、形式が多少の変更を伴っていたとしても、ろう者が使用する手話であるが故、その核となっているフレームを共有することができるんだろうなと、改めて感心した次第です。
あと、声と手話一致させていることについては、声に合わせて手話、または、手話に合わせて声、ということではなくて、そもそもその同じタイミングになるように形式がしっかりあり、その練習をしっかり行っているからこそ可能になるものということだそうです。ある意味、音楽のオーケストラと同じ感覚なのかもしれません。両モードの経時的な間が常に一定だからできる芸当であり、形式ががっちりしているからこそ、それが可能となるのだとだと思われます。改めて、表現の奥深さを考えさせられます。
「人喰いの時代」展におけるAR設置作業:情報デザイン科の授業風景
令和4年8月17日火曜日、市立小樽文学館で19日土曜日から開催される「人喰いの時代」展におけるAR展示の最終設置作業を行いました。
この展示は、AdobeAeroを利用したAR作品を利用した一種のインスタレーションであり、コラボレーションの範囲も、技術的に追求した範囲も、これまでの枠組みを大きく超えたものとなりました。
この日は、展示作業のため館内全体が休館となっており、他のブースの作業が進捗していく中、与えられたスペースにおける展示作業を専攻科2年生が中心となり、進めました。
この展示は、市立小樽美術館で10月29日日曜日まで行われます。
ユニバーサル公演ー日本ろう者劇団来校ー:情報デザイン科の授業風景
令和5年8月21日月曜日の5、6校時に、専攻科情報デザイン科では、文化庁のユニバーサル公演事業の枠組みを利用し、日本ろう者劇団をお招きした授業を行いました。この授業においては、本科1年生から3年生までの生徒にも参加していただき、教育課程が異なるため扱う授業名は異なるものの、貴重な学びの機会として利用していただくことといたしました。
前半は、演劇表現の多様性について、後半は、狂言の基礎知識や動き方等についてのワークショップを行いました。日本ろう者劇団のワークショップは、必ずしも「聾学校」が多いわけではないようですが、今回は同じ言語を共有する場となることで、いつもとはまた異なるメニューを組んでいただき、非常に有意義な活動となりました。
本公演の手話狂言は9月8日金曜日に同じく本校で予定されています。
筑波技術大学との連携授業による学校訪問:情報デザイン科の授業風景
令和5年8月5日(土)、筑波技術大学との連携授業の一環として、専攻科1年生3名が筑波技術大学を訪問しました。
これまでに小樽文学館の展示に係り、AdobeAeroを使って制作されたAR作品について、技術協力をいただいた修了生の皆様や先生方への「制作作品プレゼンテーション」及び「仮設置の作業時の写真画像等による報告」等を行いました。
この作品は、現物の「本のダミー」をタブレットPCをとおして覗くと、模型から3Dスキャナでデータ化したCGのバスが浮かび上がり、そのバスをタップすると「本のダミー」の周りを周回して本に戻っていくアニメーションが展開されます。アニメーション自体はうまく言っているのですが、周回すると縦位置の座標が少しずれるというバグがあり、その原因を修了生の皆様とその場で議論しながら修正を行いました。
訪問した1年生にとってみれば、修了生の皆さんの技術力の高さに触れるよい機会となりましたし、今後の進路選択等にも大いに参考になったものと思われます。
この活動の実施後は、筑波技術大学のオープンキャンパスが同時に行われていたことから、修了生の皆様に学内の各所を案内していただきました。筑波技術大学の皆様、大変お世話になりました。ありがとうございます。
小樽文学館でのAR作品の仮設置:情報デザイン科の授業風景
令和5年7月17日(月)、筑波技術大学との連携授業の一環として行っているAdobeAeroを利用した小樽文学館展示用のAR作品について、専攻科学生が現地での仮設置作業を行いました。
学校祭等の展示用に校内でもインスタレーション作品の一部として仮設展示を行いましたが、インスタレーション作品を展示する際には、現地の環境的要因に多くく左右されます。ですので、これまでに制作された作品を実際に現地に持ち込んで設置し、こちらの狙いにあった展示が可能かどうかの検証作業は、必須のものとなります。
この作品は、現物の「本のダミー」をタブレットPCをとおして覗くと、模型から3Dスキャナでデータ化したCGのバスが浮かび上がり、そのバスをタップすると「本のダミー」の周りを周回して本に戻っていくアニメーションが展開されます。
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ここで使う本のダミーは、展示時は開いたままにしておくのですが、実は表紙部分もかなり作り込んでいます。最初は、本を開いたときにトリガーが作動し、アニメーションが始まることが当初は考えられていたためです。 ただ、全体の構造がわかりえない一般のお客様を対象にする場合、「どれくらい何も理屈が分からなくても、こちらの狙いどおりに操作ができる」インターフェースをデザインし、準備することが重要にいなってくるため、このような方法を取ることにしました。かなり作り込んでいたので残念ではあるのですが、実際には見えない部分を作り込んでおくことも、それはそれで表現としてはありなんだろう、ということで、ひとまず妥協することといたしました。
学校と比較し、比較的水平面が検出されやすかったり、背景のスチレンボードの陰影がはっきり浮かびやすかったりと、展示の環境としては非常に秀悦であることが確認できまし検証作業を繰り返しつつ、8月19日の公開に向け、いよいよ制作は最終の工程に入ったと言っていいでしょう。
高聾祭ディスプレイ:情報デザイン科の授業風景
今年度の高聾祭ディスプレイは、「Conceptual Art&Augmented Reality」をテーマに制作を進めました。
具体的には、アメリカのコンセプチュアル・アーティストであり、現代美術の分野で重要な存在であるジョセフ・コスースの作品群の表現手法を引用しつつ、昨年度から授業に教材として組み込んでいるAdobeAeroによる拡張現実(Augmented Reality, AR)との関連を探っていく活動が中心となりました。
ジョセフ・コスースの代表作である「One and Three Chairs(椅子とその表現)」においては、実際の椅子、椅子の写真、そして椅子の定義を示すテキストが同時に示されます。これらの間には、それぞれが異なる表現方法ではあるけれども、「chairs」という要素自体は共通して根底に流れています。結局、全てのものの上位概念であるobjectsは、人間の認識の枠組みの中においてのみ存在しうる要素としては共通しているわけです。
そして、ARは、コスースが具体的なものの並列により、そのオブジェクト間の関係性を暗喩しようとしたのに対し、極めて明示的に概念と表現の関係性を提示します。裏を返せば、コスースが行おうとしていたことは、現代の拡張現実そのものであるとも言えるかもしれません。アナログ表現によるメタファーを駆使し、コンピューターによる表現が難しかった時代において、相の異なるもの同士の並列という、一見単純ではある手法によって、人間とものの間の関係性、認識の有り様といった部分に深くアプローチしようとしていたのではないでしょうか。
今回のディスプレイにおいては、ジョセフ・コスースの作品における理念を借用し、改めてその表現の価値を「もの・画像・言語」という3つの要素の並列という表現手法により確認することを試みました。そして、言語表現においては、文字ではなく、意味構成上、文法的な要素が極めて重要であることを明示する必要があることから、数年来、専攻科情報デザイン科で取り組んでいる「江副式日本語教授法」により重箱上に節を階層化した図を併置することにしました。
加えて、昨年度から取り組んでいるARによる手法も、一部の作品で組み込むことを試みています。「もの・画像・言語」=「拡張現実」という図式が成り立つのかどうか、極めて実験的な取り組みではありますが、あえてこのディスプレイ制作の枠組みの中で挑戦してみることにいたしました。
この取組が結果として作品として成立し得たかどうかは、対象となる鑑賞者の手に委ねられると思いますが、専攻科情報デザイン科の各科目における横断的で総合的な学習として、表現と言語の関係を深く考察する機会になったことは間違いないものと思います。
3年ぶりの校外学習:情報デザイン科の授業風景
令和5年6月9日金曜日、北海道高等聾学校専攻科情報デザイン科では、3年ぶりとなる校外学習を行いました。2箇所訪問させていただいております。
1箇所目は、札幌市内の美術予備校になります。本校の学生数ではなかなか推し量ることのできないデッサンの到達度について視覚的に確認することが目的です。参加した学生もこれまでにない緊張感を味わっていたのではないかと思います。
2箇所目は、手稲区の印刷工場になります。札幌市内でも数件しかない、オフセット輪転印刷機を持った工場で、非常に大規模な印刷を行っています。ここの訪問の目的は、本校で学ぶDTP、グラフィックデザインは、オフセット印刷を前提としたデータ作成を行う必要がありますが(分版やトンボ、殖版等)、本校には印刷機がないため、その実際を見学し、データ作成及びデザインに活かしていくことになります。
ここも普段は見ることのできない(普通の見学では見ることが難しいそうなことも含め)内容について、「デザインを専門に学ぶ学生」のために相当深い部分まで見学させていただきました。巨大なロール紙、熱風が吹き付ける乾燥機、印刷機の速さ、どれをとってもデザイナーが知るべき「驚き」に満ちていたものと思います。
御協力いただいた皆様の御厚意に改めてお礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
令和5年度の筑波技術大学との連携授業:情報デザイン科の授業風景
令和5年(2023年)6月20日(火)から、専攻科情報デザイン科では、令和5年度の筑波技術大学との連携授業を行っています。
昨年度から継続し、AdobeAeroを利用した拡張現実(AR)に取り組んでいます。特筆すべきなのは、今回の授業内容が、市立小樽文学館の企画展示と連動していることです。制作した作品が、実際の展示の一部として組み込まれることになりますので、非常にシビアな仕事が要求されます。
また、今回の制作においては、昨年度本校専攻科を終了された筑波技術大学在学中の学生の皆様にも技術的な支援を頂いています。今年の3月までは同じ学びやで過ごしていた先輩ですが、技術的な面や拡張現実の考え方について、Zoomを利用し、オンラインで助言を受けつつ、制作を進めました。
これまでの取組についてさらに拡張し、本校が所在する地域の社会資源とも連携を図る取り組みとなっています。今週と来週の2回の授業が制作活動にあてられる予定になってなっています。充実した活動となるよう期待したいところです。