活動の紹介・新着情報
学校給食コンテストコラボメニュー_広報用チラシ制作:情報デザイン科の授業風景
専攻科情報デザイン科で制作を進めた標記の件に係り、令和7年3月11日火曜日、制作した学生が北海道教育委員会の教育長室を訪問し、制作の報告並びに懇談等を行いました。本プロジェクトには、デザイン科専攻の学生が参加していますが、制作の工夫や苦労した点についての発表がありました。
発表者の大越さんは、「多くの人に見やすくするために、文字のサイズを大きくし、写真のレイアウトにも工夫を凝らした」「視覚的にインパクトのあるデザインを作るためのバランスを取るのが難しかった」と制作プロセスにおける苦労した点なども語られました。
制作においては、AdobeIllustratorを使用し、1月から2月にかけてじっくりと作り上げたことが紹介されました。制作の途中経過を見ている中島教育長からも「最終的に素晴らしい作品になったと思う」と評価いただきました。
完成したチラシは、情報が整理され、レイアウトのバランスも優れており、多くの人に伝わりやすいデザインとなっていると評価していただき、教育長は「これを見て、たくさんの人が給食を食べに来てくれることを期待しています」と述べました。
懇談後には、給食コンテストの優秀作品のうち6点が提供されるポールスター札幌のビュッフェにて、コンテスト出品団体等と給食を試食する機会がありました。学生たちは「ナス料理やニシンの丼ものに興味がある」と話し、実際に食べてみることを楽しみにしている様子でした。
今回のチラシ制作体験を通じて、情報を整理し、伝わりやすくするデザインの重要性を学ぶ機会となりました。制作過程での工夫や試行錯誤を経て、最終的に完成度の高いチラシができあがり、多くの関係者から高評価を受けました。今後も、学生たちがデザインスキルを活かし、社会に役立つ制作活動を続けていくことが期待されます。
専攻科体験学習が行われました:情報デザイン科の授業風景
令和7年3月11日火曜日から12日水曜日にかけ、専攻科情報デザイン科では、本科1年生を対象とした「体験学習」を行いました。今回のテーマは「キャンバ(Canva)を使ったチラシ制作」です。
授業の冒頭では、「デザインとは何か?」という問いが投げかけられました。一般的にデザインというと、色を塗ったり、形を描いたりする作業を想像しがちですが、本Webページでも繰り返し説明しているとおり、「デザインとは設計であり、考え方そのものがデザイン」となります。何かを作る際には、まず「なぜそれを作るのか」「どのように伝えるのか」といった設計の視点が不可欠です。
そして、特に編集工学的観点から重要なのは、情報の整理と伝達です。そのためには配置要素の言語的な操作が欠かせません。例えば、「リンゴ」という言葉は「果物」というカテゴリに属することができるわけですが、こうした抽象化や具象化のプロセスというものが、デザインの基礎となる思考方法であることを改めて強調しつつ、丁寧に説明を進めました。
今回の体験学習では、「キャンバ(Canva)」というデザインツールを使用し、実際にチラシを作成しました。キャンバは初心者でも直感的に操作できるツールで、テンプレートを活用することで、手軽にデザインを作成できます。
生徒たちは、まずテンプレートを選び、文字や画像を入れ替えて自分なりのチラシを作成していきます。特にこの活動において強調されたのは、「情報の優先順位を考えること」です。例えば、イベントのタイトルや日付など、最も重要な情報を大きく目立たせ、その他の情報は適切に配置することで、伝わりやすいデザインになっていきます。
加えて、今回の体験学習ではオンライン学習の重要性についても触れられました。現在、多くの大学では「オンデマンド」形式の授業が増えており、事前に録画された講義を視聴することで学習を進める形が一般的になっています。特に、聴覚障がいのある生徒にとっては、字幕や手話通訳の活用により、情報保障がしやすいというメリットもでてきますが、そのためには、場面やものに依存することなく、ことばだけから意味を掴み、構造を頭に想起できる力が不可欠となります。デザイン的な思考は、そのような力の育成に大いに役立つものであることを説明しつつ、制作を進めました。
今回の体験学習を通じて、デザインの基本的な考え方や、情報整理の重要性を学ぶことができたものと思います。また、キャンバを使った実践を通して、具体的なデザインスキルを身につける機会となりました。これからの時代、オンライン学習やデジタルツールを活用した学びがますます重要になっていく中で、今回の経験は生徒たちにとって貴重なものとなったことと思います。
筑波技術大学との連携事業_他校との交流授業が実施されました:情報デザイン科の授業風景
令和7年3月10日(月)、筑波技術大学との連携事業の一環として、例年は本校の学生が筑波技術大学に出向いて実施されている他校との交流授業が、今年度はオンライン形式で開催されました。本校と東京の葛飾ろう学校が参加し、互いに制作した作品について発表を行いました。
葛飾ろう学校からは、拡張現実(AR)を活用したデザインの拡張というテーマで、多様な作品が発表されました。一方、本校からは、グラフィックデザインに焦点を当て、特にチラシやポスターの制作を通じて地域の広報活動を行うとともに、ARを組み込む手法についても取り組んでいました。
それぞれの取り組み内容には違いがありましたが、「ARを活用してデザインを拡張する」という点では共通しており、互いの作品を通じてその違いや本質的な共通点を確認し合うことができました。
今年度の連携授業はこれで終了となりますが、次年度以降も継続して実施する予定です。本校では、外部機関の知見を活かした学びの機会を増やし、他校との交流を通じて生徒の見識を広げる取り組みをさらに推進していきます。
筑波技術大学との連携授業(第4回目)が実施されました:情報デザイン科の授業風景
令和7年2月28日(金)、筑波技術大学との連携授業の第4回目が実施されました。
これまでの第1回から第3回までは、本校情報デザイン課の専門科目と連携した授業が行われました。具体的には、「デザインの拡張」というテーマのもと、グラフィックデザインと拡張現実(AR)を組み合わせた授業を展開しました。これらの授業は、遠隔オンライン形式で行われたり、筑波技術大学の先生にご協力いただきながら進められました。
今回の第4回目は、卒業式前日ということもあり、時間的制約がある中での実施となりましたが、デザイン科の授業の総括的な内容に加え、本科の1年生および2年生を対象とした「トリセツ」と「筑波技術大学」の説明会が行われました。
筑波技術大学の話を初めて聞く生徒も多く、特に渉外認識に関する学習については、理解が深まっている生徒もいれば、まだ十分に理解できていない生徒もいる状況でした。そのため、筑波技術大学の先生によるこのような学びの機会は、生徒たちにとって非常に貴重なものとなりました。
本校では今後もこのような連携事業を通じて、生徒の学びをさらに深めていけるよう努めてまいります
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令和6年度修了作品展が始まりました:情報デザイン科の授業風景
令和7年2月19日水曜日から2月24日月曜日まで、市立小樽美術館にて今年度の修了作品展を行っています。
3月に修了を予定している3人の学生が科目「課題制作」で制作した作品とともに、これまでの授業で制作されたグラフィックやプロダクト類もあわせて展示しています。
ここ数年はデジタル作品が増えてきていますが、今年度も映像作品やDTPの技術を利用した作品が多く展示されており、過去と現在における当学科のカリキュラムの変化を感じることができます。
また、本科美術部の展示も同時に行っています。
開館時間は10:00~17:00となっております。最終日は15:00までです。
令和7年度(2025年度)公立特別支援学校(高等部)入学者【第2次募集】
筑波技術大学との連携授業~AR技術を活用したデザインの可能性~:情報デザイン科の授業風景
筑波技術大学の先生をお招きした「筑波技術大学との連携授業(3回目)」が2月14日金曜日に行われました。今回は、AR(拡張現実)技術を使った新しいデザインの可能性を学びました。今回は、チラシ制作にQRコードを組み込み、AR技術を活用する方法を実践しました。
AR技術とは?
ARは、現実世界にデジタル情報を重ねる技術です。例えば、スマートフォンでQRコードを読み取ると、追加情報が表示される仕組みが一般的です。本授業では、チラシにARを組み込むことで、より魅力的な情報発信ができることを学びました。
チラシとARの活用
ARを活用することで、以下のような新しい体験を生み出せます。
- 情報の拡張:QRコードを読み取ると、イベント詳細や関連動画が見られる。
- 体験型コンテンツ:歴史上の人物と写真を撮る機能などを提供。
- 3Dオブジェクトの表示:商品を3Dモデルで確認し、購入前に細部をチェック可能。
実践:ARコンテンツの作成
授業では、AR制作ツール「Adobe Aero」を使用し、実際にARチラシを作成しました。
- 新規プロジェクトの作成
- 3Dオブジェクトの配置
- QRコードの生成とチラシへの組み込み
無料の3Dモデルを活用し、昆虫を拡大表示したり、都市のランドマークを縮小表示するなど、新たな視点の提供も試みました。
今後の展望
3月にはオンラインを介した全国の聾学校との発表会も予定しており、より完成度の高いARチラシを目指します。AR技術を活用することで、チラシを「読む」ものから「体験する」ものへと進化させることが可能です。今後もこの技術を活用し、より魅力的なデザインを創出することを目指します。
令和6年度専攻科情報デザイン科修了作品展
令和7年2月19日水曜日から24日月曜日までの間、市立小樽美術館市民ギャラリーにおいて「令和6年度北海道高等聾学校専攻科情報デザイン科修了作品展」が行われます。
科目「課題研究」において、今年度修了予定の各学生がそれぞれの研究テーマを追求した結果を「修了作品」として展示させていただきます。
皆様の御来場をお待ち申し上げております。
スタートアップカンパニープロジェクト_教育振興会会報の制作:情報デザイン科の授業風景
専攻科情報デザイン科では、学生の実践力を育むためにさまざまなプロジェクトを行っています。その中でも特に注目されるのが「スタートアップカンパニープロジェクト」です。このプロジェクトでは、外部からの依頼による出版物等のデータ作成を教材として無償で請け負い、データ作成までの演習を行って、実践的なスキルを身につける機会を提供しています。
現在、取り組んでいる主なプロジェクトの一つは、本校の教育振興会報のデータ作成です。この会報は年末に発行が予定されており、納期が迫っているため、学生は短期間で高品質な成果を求められています。少人数体制で進められていることから、一人一人の負担はそれなりに大きいものの、これらの課題を通じて実社会での働き方や納期遵守の重要性を学ぶ貴重な機会となっています。
制作には、ページデザインの定番ソフトであるAdobe InDesignを使用しています。InDesignは、高機能でそれなりの難易度を有するアプリケーションですが、ページもの制作においては必須のツールです。本校ではこのソフトの使用を通じて、生徒たちがグラフィックデザインの専門スキルを習得できるよう指導しています。また、プロジェクトをOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の一環として位置付け、生徒たちの応用力を高めることを目指しています。
プロジェクトの中では、日本語の和文書体と欧文書体の組み方の違い、文字送りやカーニング、トラッキングの調整方法、段落設定やインデントの効率的な活用法など、組版に関する実践的な技術を学びます。また、Photoshopを使った写真の解像度設定や編集方法なども指導され、総合的なデザインスキルを身につけることができます。
このような活動ベースの授業展開は、上記のようなメリットも多くある半面、時間の制約や教科の系統性を担保する学びとのバランスといった課題があります。納期に間に合わせるためには、時には計画を柔軟に変更する必要もあります。これらの課題をどのように克服するかが、教員側のカリキュラム設計における重要なテーマとなっています。
今後は、教育振興会報の完成後に生徒会誌や学校だよりの制作など、さらに幅広いプロジェクトへの取り組みを予定しています。これらの実践を通じて、学生にはデザインスキルを高めることに加え、チームで協力して仕事を進める能力や、社会で求められる柔軟性を身につけていってほしいと思います。
令和7年度(2025年度)北海道高等聾学校専攻科入学者募集要領について
令和7年度(2025年度)入学者募集要領は、下記のリンクからPDFファイルをダウンロードしていただけます。
適性検査に必要な用具についての説明は、下記のリンクからPDFファイルをダウンロードしていただけます。
適性検査に必要なデザイン用具について(PDF)
出願に必要な書類の送付を御希望の方は、下記金額の切手と、必要な部数を明記したものを同封の上、郵送にて事務局まで御請求ください。必要な部数によって送料が異なります。
1部 180円(速達 480円)
2部~3部 320円(速達 620円)
4部~6部 510円(速達 910円)
7部~10部 750円(速達1150円)
11部以上はお問い合わせください。
「入学案内(入学のしおり)」については、下記のリンクからダウンロードすることができますが、製本された「入学案内」を募集要領とあわせて送付することもできます。その場合の送料は下記のとおりです。
「入学のしおり」付き1部 320円(速達 620円)
「入学のしおり」付き2部~3部 510円(速達 910円)
「入学のしおり」付き4~5部 750円(速達1150円)
6部以上はお問い合わせください。
「入学案内(入学のしおり)」(PDF)
北海道高等聾学校(専攻科)入学選考事務局(担当:堀、桑原)
〒047-0261 北海道小樽市銭函1丁目5番1号
TEL 0134-62-2624(内線58)
FAX 0134-62-2663
北方領土ポスターコンテストで本校在籍生が奨励賞を受賞!
標記の公募に、本校からも応募していましたが、一般の部に専攻科の学生2名、高校生の部に本科生徒1名(2作品)が奨励賞を受賞いたしました。
学習の一環として授業で取り組んできた内容が一定の評価をいただいた結果と受け止めております。ありがとうございました。
Pythonプログラミング:情報デザイン科の授業風景
本校情報デザイン科では、1年生対象の科目「情報技1」において、フロントエンドに係る職業技術の習得のため、幅広くコーディング技術を扱う教育を展開しています。前期は、HTML及びCSSによるコンテンツ制作及びコーディングを中心に学習しましたが、後期からはPythonを取り扱います。Pythonは現在、プログラミング業界で特に注目されているプログラミング言語であり、人工知能(AI)をはじめ、さまざまな分野で活用されています。
授業においては、音声認識アプリを活用するなどしながら、必要な用語を確実に習得できるよう、慎重に情報伝達を行いつつ、指導を展開していきます。
実践的かつ実用的な内容を設定しながら、実際的なプログラミングスキルを身に付けられるよう指導していきます。
プログラミングは、聴覚障がい者にとって今後有力な進路先になりえる職種の一つです。視覚情報を活用することで、コミュニケーションの障壁を超えた仕事に取り組むことが可能ですし、さまざまな分野で活用されるものなので、キャリアの幅を広げる手助けにもなるかもしれません。しかし、その一方で、プログラミングは場面依存性が少なく、法則性のみに基づいて言語を論理的に組み立てる必要があるため、学びの状態によっては最も苦手な分野となりえる可能性も否定できませんす。
そのため、授業においては、丁寧かつ徹底した指導が欠かせません。今年度のPythonの学びは始まったばかりですが、文法事項やプログラミングの基礎をしっかり押さえ、生徒が主体的に学び、実践できるような指導を継続していきたいと考えています。
北海道造形美術学院の授業見学:情報デザイン科の授業風景
9月25日水曜日の校外学習、午後は、北海道造形美術学院様の授業を見学しました。同学院は、美大受験に向けた実技の指導に力を入れている美術予備校で、今回の見学では、私たちの学校で設定されている「デッサン」における作品の質の到達度を確認することが主な目的でした。
まず見学したのは、木大画(木炭紙大の画用紙)サイズのデッサン制作の授業でした。この日は、約15時間程度をかけて、学生の皆さんが構図や陰影、質感を意識しながら作品を仕上げていました。通常、入試における実技科目においては、短時間での完成が求められますが、今回は少し余裕を持った制作時間が与えられていました。このように時間をかけられるのは、作品の完成度を高めるためであり、今後は徐々に制作時間を短縮し、受験に備えた訓練が進められるそうです。
次に見学したのは、油彩画の授業です。この授業では、「円山動物園」をテーマに取材をもとにした作品制作が進められており、油絵や水彩画、粘土作品などを自由に表現する課題が出されていました。学生の皆さんは、各自が捉えた動物や自然の要素を、今後40時間ほどの制作時間をかけて描いていくそうです。
なぜ、今回は時間を長くかけているのかという点について、講師の方からの説明がありました。油彩画は技法的に時間がかかります。しかし、入試では、短ければ6時間程度で仕上げることが要求されることもあり、短時間で作品を仕上げる練習は美大受験には必要不可欠です。ただ、授業においては、最初の段階では、じっくりと時間をかけて試行錯誤し、表現力を深めることが重要だという考えがあるそうです。学生の皆さんは、まだ制作過程の初期段階にあり、技術や発想力をしっかり養うために、あえて長時間をかけて制作に取り組んでいるのです。これは、今後の受験に向けてより高度な技術を習得するための基盤作りとして非常に重要なプロセスなのでしょう。
最後に、私たちの学生との質疑応答の時間が設けられ、特に「質感表現」についての議論が展開されました。金属や木材といった異なる素材の質感を、視覚的にどのように再現するかという質問に対し、講師から「それは表面の問題。金属は見た目でその質感がわかるのは、表面の特徴を視覚的に正確に捉えているから」という具体的なアドバイスをいただきました。本校学生にとっても、質感表現の重要性を学ぶ貴重な機会となりました。
今回の見学で制作されたデッサンや油彩画の作品は、10月13日から19日に開催される「大作画課題展示」展で公開予定だそうです。学生の皆さんがどのような方向で作品制作を展開、完成させたのか、その成果を見ることができるのが楽しみです。
例年同様、学生の皆さんの技術力と制作に向かう心構えを改めて目の当たりにし、非常に刺激的な時間となりました。あらためて、このような機会をいただいた北海道造形美術学院様に改めて感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
ペーパーショップサクマ見学及び紙に係る専門講習:情報デザイン科の授業風景
専攻科情報デザイン科では、校内の施設設備では十分に学びを展開することが難しい事柄について、近郊の施設等のリソースを活用すべく、校外学習を行っています。
9月25日水曜日の校外学習においては、今回は、500m美術館やほほえみカフェなど、札幌市内中心部を中心に見学等を行いました。
午前中の中心的活動は、ペーパーショップサクマ様における店内見学と紙に係る専門的内容のレクチャーです
営業時間内の店内での活動となりますから、サクマ様には大変御負担と御無理をおかけしたかと存じますが、それでも快く受け入れていただきましたことに、改めて心より感謝申し上げたいと思います。
見学においては、まず、担当係長様から、紙製品を扱う店舗での説明をいただき、店の歴史や商品の概要が紹介されました。札幌市内で60年以上続くこの店舗は、主に印刷用紙の販売を行っており、一般向けにも少量の紙を提供している点が特徴です。紙の種類については、コピー用紙やトイレットペーパーといった一般的な紙から、特殊な印刷用紙まで幅広く取り扱っていますが、この店舗では印刷用紙を中心に扱っているそうです。大きなサイズの紙を切り分けるサービスも提供しており、希望に応じてカスタマイズすることが可能です。
続いて、紙の厚みやサイズに関する説明があり、紙の厚さを「キロ」で表現する「連量」という独特の方法が紹介されました。この方法では、紙1000枚の重さで紙の厚さが表され、70キロや135キロといった数値がその紙の特徴を示します。また、紙の厚さを測る機械が実演され、具体的な数値で紙の特性が示される場面がありました。この説明を通して、紙の選定が単なる厚さや大きさだけでなく、用途や希望に合わせた精密な調整が必要であることが理解されました。
さらに、紙の「流れ目」についての説明が行われました。これは印刷や製本時に非常に重要な要素であると強調されました。紙の繊維がどの方向に流れているかによって、折りやすさや仕上がりが異なります。この知識がないと、製品の品質が大きく左右されるため、印刷業者やデザイナーにとっては重要な情報です。
倉庫見学では、巨大な紙がどのように保管されているかが説明され、湿度管理などの細やかな配慮が必要であることが説明されました。特に見どころは、倉庫内の断裁機の操作方法のデモンストレーションです。紙の裁断に精密な作業が求められる様子が紹介されました。この機械は非常に古いそうですが、それでも一度に大量の紙を正確にカットすることができ、長年使用されていることから、その信頼性が感じられました。紙をカットする際の圧力調整やズレを防ぐ仕組みなど、細かい技術的な説明もあり、美しい仕上がりにおける断裁の重要性がよく伝わりました。
最後に、店内の特殊紙の展示を見学する時間が設けられました。店内は、色や模様、手触りが異なる紙が多数展示されており、デザイナーやクリエイターにとって魅力的な選択肢が豊富に揃っています。SDGsに配慮した製品として、野菜の繊維を使った紙や、環境に優しい素材が使われた製品も紹介され、現代のトレンドに沿った商品開発が行われている様子が伺われました。また、商品に実際に触れさせて頂く機会もいただき、学生は実際に紙に触れ、凹凸や厚さを確認しながら、紙の多様性を体感することができました。
紙の知識は、グラフィックデザインにおいては、設計の土台として極めて重要な要素です。このことについて特に取り出して学習する機会を得たことは、非常に有意義なことと考えます。このような機会をいただいたペーパーショップサクマ様に改めて感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
SLAの知見を生かした日本語指導と編集工学的アプローチ:情報デザイン科の授業風景
専攻科情報デザイン科の現代文の授業では、SLA(第二言語習得理論)の知見を活かし、日本語の文法や表現を深く理解するための「アクティブラーニング」を取り入れています。この授業の特徴は、単に文法を学ぶだけでなく、情報デザインに不可欠な「情報の整理能力」を磨く点にあります。主要科目であるグラフィックデザインにおいても、情報の整理と表現は重要なスキルであり、この授業はデザインと日本語指導を一体的に学ぶことで、その力を効率的に高めることを目指しています。
デザインとは、結局のところ「情報の整理」です。視覚的な要素を効果的に配置し、メッセージを明確に伝えるには、情報をどのように整理し、伝えるかが鍵となります。ここで重要になるのが編集工学の視点です。編集工学では、情報をフレーム化し、その構造を明確にする手法を学びます。このスキルは、日本語の文型と一体的に学んでいくことがポイントとなります。文法を整理し、適切なフレームとして活用することで、複雑な情報をシンプルかつ効果的に伝える力が育まれます。
さらに、授業では日本語文法の図像化や語義モデリング言語を使った語義の構造化、「言い換え」や「比喩」を使った学習などを通じて、思考を抽象化し、多角的に物事を捉える力を育てます。たとえば、具体的な事象を抽象的な概念に結びつけることは、デザインでも言語活動でも共通のスキルです。これにより、学生は単に表現技法を習得するだけでなく、視覚的情報と言語的情報の両方を効果的に整理し、伝える力を養います。
また、「アブダクション(推測)」もアクティブラーニングを進める上で重要な要素です。限られた情報から合理的な結論を導き出すプロセスは、デザインにおいても言語活動においても同様に求められます。文型を一部から推測し、全体像を掴む力は、デザインの場でも役立つスキルです。たとえば、視覚的な要素の一部から全体のコンセプトを推測し、デザインを完成させる能力に通じるようにです。
専攻科情報デザイン科の現代文の授業では、日本語指導と情報デザインのスキルを同時に学び、SLA理論や編集工学のアプローチを通じて、情報の整理・編集を体系的に身に付けていきます。これにより、学生はデザインにおける表現力だけでなく、言語を使った情報の整理や発信力にも応用されていくことになります。
遠隔通信の制限的利用による校内イベントのオンライン参加:情報デザイン科の授業風景
先日、校内で卒業生をお招きした講話がありましたが、その際、専攻科では授業の一環並びに今後の行事の効率的な運用の実験的な意味合いも含め、ビデオ会議システムや動画のストリーム配信の限定公開等による校内オンライン形式での授業参加に取り組みました。
これまでも、このような本科との合同の講演形式の授業においては、オンライン形式での授業に係る試験的運用を行ってきており、カメラの位置や角度、焦点をあわせるべき対象などを吟味しながら、より見やすい映像、また参加しやすい形式を追求するなど、改善を重ねて参りました。このようなテレコミュニケーションによる授業参加は、持続可能性の追求と遠隔学習の学び方の理解という観点で、今後重要な指導形態になっていくように感じますし、今後より一層の活用の幅を広げていくべく、研究を進めてまいりたいと思います。
専攻科情報デザイン科在籍学生の制作した作品が「新道展」に入選しました
専攻科情報デザイン科在籍学生が制作した作品が新北海道美術協会が主催する公募展「新道展」に入選したしました。快挙です!
この作品は、銭函の海で見つけたさまざまなオブジェクトを利用し、学生生活を送る「今」を表現しているそうです。
このオブジェクトの配置における位置関係は、自身が継続して取り組んでいるバイオリンの演奏曲がモチーフとなっており、
個性豊かなインスタレーション作品に仕上がっています。
作品の展示は、札幌市民ギャラリーで9月8日日曜日まで行われています。
高聾祭ディスプレイ2024(4):情報デザイン科の授業風景
グラフィカルなデザイン制作において、レイアウトに係る法則性は極めて重要です。基本的には、大きく2つの方向性があるわけですが、一つは対比のバランスを極めるもの、もう一つは細分化された要素を集合させる手法になります。
1階から4階に至る階段の壁面に展示されたインスタレーションは、上記の後者の手法のお手本とも言える作品といえるかもしれません。
単純な幾何形体の繰り返しではありますが、色相のグラデーションという配色パターンの法則性が作品全体のフレームを構成し、かつ、アクセント的に付け加えられるイレギュラーな配置が、造形的な価値と創造性をほどよく補っています。
高聾祭ディスプレイ2024(3):情報デザイン科の授業風景
今回のディスプレイでは、そのプロセスで生成される図像を「メタ情報の明示化」と捉え、本質的な意味でのillustrationとして取り上げ、作品として提示する試みを行いました。その作品群の中には、日常の授業で取り上げてる「日本語の文法要素の可視化」も取り上げています。
ある文字列が示す語義には、もちろん静的構造を背景にした要素が控えているわけですが、同時に品詞や深層格、シソーラスといった要素同士の関係性自体やその機能といった不可視な情報も包含されています。この情報を明示的なシンボルとするための法則性の集合が今回の展示へと昇華されるわけですが、ポイントは、内容ではなく、型なのだ、ということになるでしょうか。因果関係や比較、抽象化といった思考の手立ては、結局は内容ではなく、その内容のつなぎ方や捉え方なのであり、造形表現の力を借りながら、そこへの気付きを促すためのメタ情報の明示化を試みています。
高聾祭ディスプレイ2024(2):情報デザイン科の授業風景
ディスプレイ制作は、インスタレーション作品を中心に制作活動を進めていくことになりますが、今回は、そのテーマである「Illustratron」の語義に忠実に制作を進めた作品もあります。
極端に抽象化された形態と鮮やかな色彩は、明らかにキース・ヘリングを彷彿とさせる作品ではあり、学習の一環としての情報デザイン科の授業において、「先達との対話」は重要な意義を持つものと考えます。しかし、熱量の高い制作活動を通し、その対話から得られる要素に加わる制作者自身のパラメータは、作品の独自性と個別性を担保することになります。そして、完成した一連の作品群は、制作した学生の個性と創造性に満ちています。