専攻科体験学習が行われました:情報デザイン科の授業風景
令和7年3月11日火曜日から12日水曜日にかけ、専攻科情報デザイン科では、本科1年生を対象とした「体験学習」を行いました。今回のテーマは「キャンバ(Canva)を使ったチラシ制作」です。
授業の冒頭では、「デザインとは何か?」という問いが投げかけられました。一般的にデザインというと、色を塗ったり、形を描いたりする作業を想像しがちですが、本Webページでも繰り返し説明しているとおり、「デザインとは設計であり、考え方そのものがデザイン」となります。何かを作る際には、まず「なぜそれを作るのか」「どのように伝えるのか」といった設計の視点が不可欠です。
そして、特に編集工学的観点から重要なのは、情報の整理と伝達です。そのためには配置要素の言語的な操作が欠かせません。例えば、「リンゴ」という言葉は「果物」というカテゴリに属することができるわけですが、こうした抽象化や具象化のプロセスというものが、デザインの基礎となる思考方法であることを改めて強調しつつ、丁寧に説明を進めました。
今回の体験学習では、「キャンバ(Canva)」というデザインツールを使用し、実際にチラシを作成しました。キャンバは初心者でも直感的に操作できるツールで、テンプレートを活用することで、手軽にデザインを作成できます。
生徒たちは、まずテンプレートを選び、文字や画像を入れ替えて自分なりのチラシを作成していきます。特にこの活動において強調されたのは、「情報の優先順位を考えること」です。例えば、イベントのタイトルや日付など、最も重要な情報を大きく目立たせ、その他の情報は適切に配置することで、伝わりやすいデザインになっていきます。
加えて、今回の体験学習ではオンライン学習の重要性についても触れられました。現在、多くの大学では「オンデマンド」形式の授業が増えており、事前に録画された講義を視聴することで学習を進める形が一般的になっています。特に、聴覚障がいのある生徒にとっては、字幕や手話通訳の活用により、情報保障がしやすいというメリットもでてきますが、そのためには、場面やものに依存することなく、ことばだけから意味を掴み、構造を頭に想起できる力が不可欠となります。デザイン的な思考は、そのような力の育成に大いに役立つものであることを説明しつつ、制作を進めました。
今回の体験学習を通じて、デザインの基本的な考え方や、情報整理の重要性を学ぶことができたものと思います。また、キャンバを使った実践を通して、具体的なデザインスキルを身につける機会となりました。これからの時代、オンライン学習やデジタルツールを活用した学びがますます重要になっていく中で、今回の経験は生徒たちにとって貴重なものとなったことと思います。