スタートアップカンパニープロジェクト_教育振興会会報の制作:情報デザイン科の授業風景
専攻科情報デザイン科では、学生の実践力を育むためにさまざまなプロジェクトを行っています。その中でも特に注目されるのが「スタートアップカンパニープロジェクト」です。このプロジェクトでは、外部からの依頼による出版物等のデータ作成を教材として無償で請け負い、データ作成までの演習を行って、実践的なスキルを身につける機会を提供しています。
現在、取り組んでいる主なプロジェクトの一つは、本校の教育振興会報のデータ作成です。この会報は年末に発行が予定されており、納期が迫っているため、学生は短期間で高品質な成果を求められています。少人数体制で進められていることから、一人一人の負担はそれなりに大きいものの、これらの課題を通じて実社会での働き方や納期遵守の重要性を学ぶ貴重な機会となっています。
制作には、ページデザインの定番ソフトであるAdobe InDesignを使用しています。InDesignは、高機能でそれなりの難易度を有するアプリケーションですが、ページもの制作においては必須のツールです。本校ではこのソフトの使用を通じて、生徒たちがグラフィックデザインの専門スキルを習得できるよう指導しています。また、プロジェクトをOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の一環として位置付け、生徒たちの応用力を高めることを目指しています。
プロジェクトの中では、日本語の和文書体と欧文書体の組み方の違い、文字送りやカーニング、トラッキングの調整方法、段落設定やインデントの効率的な活用法など、組版に関する実践的な技術を学びます。また、Photoshopを使った写真の解像度設定や編集方法なども指導され、総合的なデザインスキルを身につけることができます。
このような活動ベースの授業展開は、上記のようなメリットも多くある半面、時間の制約や教科の系統性を担保する学びとのバランスといった課題があります。納期に間に合わせるためには、時には計画を柔軟に変更する必要もあります。これらの課題をどのように克服するかが、教員側のカリキュラム設計における重要なテーマとなっています。
今後は、教育振興会報の完成後に生徒会誌や学校だよりの制作など、さらに幅広いプロジェクトへの取り組みを予定しています。これらの実践を通じて、学生にはデザインスキルを高めることに加え、チームで協力して仕事を進める能力や、社会で求められる柔軟性を身につけていってほしいと思います。