2024年9月の記事一覧
北海道造形美術学院の授業見学:情報デザイン科の授業風景
9月25日水曜日の校外学習、午後は、北海道造形美術学院様の授業を見学しました。同学院は、美大受験に向けた実技の指導に力を入れている美術予備校で、今回の見学では、私たちの学校で設定されている「デッサン」における作品の質の到達度を確認することが主な目的でした。
まず見学したのは、木大画(木炭紙大の画用紙)サイズのデッサン制作の授業でした。この日は、約15時間程度をかけて、学生の皆さんが構図や陰影、質感を意識しながら作品を仕上げていました。通常、入試における実技科目においては、短時間での完成が求められますが、今回は少し余裕を持った制作時間が与えられていました。このように時間をかけられるのは、作品の完成度を高めるためであり、今後は徐々に制作時間を短縮し、受験に備えた訓練が進められるそうです。
次に見学したのは、油彩画の授業です。この授業では、「円山動物園」をテーマに取材をもとにした作品制作が進められており、油絵や水彩画、粘土作品などを自由に表現する課題が出されていました。学生の皆さんは、各自が捉えた動物や自然の要素を、今後40時間ほどの制作時間をかけて描いていくそうです。
なぜ、今回は時間を長くかけているのかという点について、講師の方からの説明がありました。油彩画は技法的に時間がかかります。しかし、入試では、短ければ6時間程度で仕上げることが要求されることもあり、短時間で作品を仕上げる練習は美大受験には必要不可欠です。ただ、授業においては、最初の段階では、じっくりと時間をかけて試行錯誤し、表現力を深めることが重要だという考えがあるそうです。学生の皆さんは、まだ制作過程の初期段階にあり、技術や発想力をしっかり養うために、あえて長時間をかけて制作に取り組んでいるのです。これは、今後の受験に向けてより高度な技術を習得するための基盤作りとして非常に重要なプロセスなのでしょう。
最後に、私たちの学生との質疑応答の時間が設けられ、特に「質感表現」についての議論が展開されました。金属や木材といった異なる素材の質感を、視覚的にどのように再現するかという質問に対し、講師から「それは表面の問題。金属は見た目でその質感がわかるのは、表面の特徴を視覚的に正確に捉えているから」という具体的なアドバイスをいただきました。本校学生にとっても、質感表現の重要性を学ぶ貴重な機会となりました。
今回の見学で制作されたデッサンや油彩画の作品は、10月13日から19日に開催される「大作画課題展示」展で公開予定だそうです。学生の皆さんがどのような方向で作品制作を展開、完成させたのか、その成果を見ることができるのが楽しみです。
例年同様、学生の皆さんの技術力と制作に向かう心構えを改めて目の当たりにし、非常に刺激的な時間となりました。あらためて、このような機会をいただいた北海道造形美術学院様に改めて感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。