活動の紹介・新着情報
ペーパーショップサクマ見学及び紙に係る専門講習:情報デザイン科の授業風景
専攻科情報デザイン科では、校内の施設設備では十分に学びを展開することが難しい事柄について、近郊の施設等のリソースを活用すべく、校外学習を行っています。
9月25日水曜日の校外学習においては、今回は、500m美術館やほほえみカフェなど、札幌市内中心部を中心に見学等を行いました。
午前中の中心的活動は、ペーパーショップサクマ様における店内見学と紙に係る専門的内容のレクチャーです
営業時間内の店内での活動となりますから、サクマ様には大変御負担と御無理をおかけしたかと存じますが、それでも快く受け入れていただきましたことに、改めて心より感謝申し上げたいと思います。
見学においては、まず、担当係長様から、紙製品を扱う店舗での説明をいただき、店の歴史や商品の概要が紹介されました。札幌市内で60年以上続くこの店舗は、主に印刷用紙の販売を行っており、一般向けにも少量の紙を提供している点が特徴です。紙の種類については、コピー用紙やトイレットペーパーといった一般的な紙から、特殊な印刷用紙まで幅広く取り扱っていますが、この店舗では印刷用紙を中心に扱っているそうです。大きなサイズの紙を切り分けるサービスも提供しており、希望に応じてカスタマイズすることが可能です。
続いて、紙の厚みやサイズに関する説明があり、紙の厚さを「キロ」で表現する「連量」という独特の方法が紹介されました。この方法では、紙1000枚の重さで紙の厚さが表され、70キロや135キロといった数値がその紙の特徴を示します。また、紙の厚さを測る機械が実演され、具体的な数値で紙の特性が示される場面がありました。この説明を通して、紙の選定が単なる厚さや大きさだけでなく、用途や希望に合わせた精密な調整が必要であることが理解されました。
さらに、紙の「流れ目」についての説明が行われました。これは印刷や製本時に非常に重要な要素であると強調されました。紙の繊維がどの方向に流れているかによって、折りやすさや仕上がりが異なります。この知識がないと、製品の品質が大きく左右されるため、印刷業者やデザイナーにとっては重要な情報です。
倉庫見学では、巨大な紙がどのように保管されているかが説明され、湿度管理などの細やかな配慮が必要であることが説明されました。特に見どころは、倉庫内の断裁機の操作方法のデモンストレーションです。紙の裁断に精密な作業が求められる様子が紹介されました。この機械は非常に古いそうですが、それでも一度に大量の紙を正確にカットすることができ、長年使用されていることから、その信頼性が感じられました。紙をカットする際の圧力調整やズレを防ぐ仕組みなど、細かい技術的な説明もあり、美しい仕上がりにおける断裁の重要性がよく伝わりました。
最後に、店内の特殊紙の展示を見学する時間が設けられました。店内は、色や模様、手触りが異なる紙が多数展示されており、デザイナーやクリエイターにとって魅力的な選択肢が豊富に揃っています。SDGsに配慮した製品として、野菜の繊維を使った紙や、環境に優しい素材が使われた製品も紹介され、現代のトレンドに沿った商品開発が行われている様子が伺われました。また、商品に実際に触れさせて頂く機会もいただき、学生は実際に紙に触れ、凹凸や厚さを確認しながら、紙の多様性を体感することができました。
紙の知識は、グラフィックデザインにおいては、設計の土台として極めて重要な要素です。このことについて特に取り出して学習する機会を得たことは、非常に有意義なことと考えます。このような機会をいただいたペーパーショップサクマ様に改めて感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
SLAの知見を生かした日本語指導と編集工学的アプローチ:情報デザイン科の授業風景
専攻科情報デザイン科の現代文の授業では、SLA(第二言語習得理論)の知見を活かし、日本語の文法や表現を深く理解するための「アクティブラーニング」を取り入れています。この授業の特徴は、単に文法を学ぶだけでなく、情報デザインに不可欠な「情報の整理能力」を磨く点にあります。主要科目であるグラフィックデザインにおいても、情報の整理と表現は重要なスキルであり、この授業はデザインと日本語指導を一体的に学ぶことで、その力を効率的に高めることを目指しています。
デザインとは、結局のところ「情報の整理」です。視覚的な要素を効果的に配置し、メッセージを明確に伝えるには、情報をどのように整理し、伝えるかが鍵となります。ここで重要になるのが編集工学の視点です。編集工学では、情報をフレーム化し、その構造を明確にする手法を学びます。このスキルは、日本語の文型と一体的に学んでいくことがポイントとなります。文法を整理し、適切なフレームとして活用することで、複雑な情報をシンプルかつ効果的に伝える力が育まれます。
さらに、授業では日本語文法の図像化や語義モデリング言語を使った語義の構造化、「言い換え」や「比喩」を使った学習などを通じて、思考を抽象化し、多角的に物事を捉える力を育てます。たとえば、具体的な事象を抽象的な概念に結びつけることは、デザインでも言語活動でも共通のスキルです。これにより、学生は単に表現技法を習得するだけでなく、視覚的情報と言語的情報の両方を効果的に整理し、伝える力を養います。
また、「アブダクション(推測)」もアクティブラーニングを進める上で重要な要素です。限られた情報から合理的な結論を導き出すプロセスは、デザインにおいても言語活動においても同様に求められます。文型を一部から推測し、全体像を掴む力は、デザインの場でも役立つスキルです。たとえば、視覚的な要素の一部から全体のコンセプトを推測し、デザインを完成させる能力に通じるようにです。
専攻科情報デザイン科の現代文の授業では、日本語指導と情報デザインのスキルを同時に学び、SLA理論や編集工学のアプローチを通じて、情報の整理・編集を体系的に身に付けていきます。これにより、学生はデザインにおける表現力だけでなく、言語を使った情報の整理や発信力にも応用されていくことになります。
遠隔通信の制限的利用による校内イベントのオンライン参加:情報デザイン科の授業風景
先日、校内で卒業生をお招きした講話がありましたが、その際、専攻科では授業の一環並びに今後の行事の効率的な運用の実験的な意味合いも含め、ビデオ会議システムや動画のストリーム配信の限定公開等による校内オンライン形式での授業参加に取り組みました。
これまでも、このような本科との合同の講演形式の授業においては、オンライン形式での授業に係る試験的運用を行ってきており、カメラの位置や角度、焦点をあわせるべき対象などを吟味しながら、より見やすい映像、また参加しやすい形式を追求するなど、改善を重ねて参りました。このようなテレコミュニケーションによる授業参加は、持続可能性の追求と遠隔学習の学び方の理解という観点で、今後重要な指導形態になっていくように感じますし、今後より一層の活用の幅を広げていくべく、研究を進めてまいりたいと思います。
専攻科情報デザイン科在籍学生の制作した作品が「新道展」に入選しました
専攻科情報デザイン科在籍学生が制作した作品が新北海道美術協会が主催する公募展「新道展」に入選したしました。快挙です!
この作品は、銭函の海で見つけたさまざまなオブジェクトを利用し、学生生活を送る「今」を表現しているそうです。
このオブジェクトの配置における位置関係は、自身が継続して取り組んでいるバイオリンの演奏曲がモチーフとなっており、
個性豊かなインスタレーション作品に仕上がっています。
作品の展示は、札幌市民ギャラリーで9月8日日曜日まで行われています。
高聾祭ディスプレイ2024(4):情報デザイン科の授業風景
グラフィカルなデザイン制作において、レイアウトに係る法則性は極めて重要です。基本的には、大きく2つの方向性があるわけですが、一つは対比のバランスを極めるもの、もう一つは細分化された要素を集合させる手法になります。
1階から4階に至る階段の壁面に展示されたインスタレーションは、上記の後者の手法のお手本とも言える作品といえるかもしれません。
単純な幾何形体の繰り返しではありますが、色相のグラデーションという配色パターンの法則性が作品全体のフレームを構成し、かつ、アクセント的に付け加えられるイレギュラーな配置が、造形的な価値と創造性をほどよく補っています。